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世に言う「就活サバイバル」を勝ち抜く事ができず、就職先が決まらないまま大学を卒業してしまった。
そんな私でも働ける世の中ではあるのだ。仕事を選ばなければ、働く場所はいくらでもある。そして仕事だけでなく、雇用形態も選ばなければ、今はまさに売り手市場で、働こうと思い立てばいつでも誰でも何かしらの仕事ができる時代なのだ。
きちんとした待遇、福利厚生が確約されている正社員という立ち位置は、ボケっとしていればものにはできず、そういったステータスからあぶれる者は後を絶たないが、契約社員や派遣社員ならば、需要はある。そして、アルバイトやパートならば、本当に履いて捨てるほど求人情報が溢れかえっている。
だから、私は内定が取れないまま卒業する事が確定しても、それほど深く落ち込まなかった。
実際、その時アルバイトをしていた職場で、このまま働き続ければ良いし、と思っていたし、もし仮にそこで自分の居場所が無くなっても、どこにでも雇ってくれるところはあるだろうと安易に考えていた。
学生の頃からずっと続ける事になった仕事は、接客業だった。
大学の最寄り駅近くの居酒屋で店員として働いていたのだ。キッチンで調理を担当する事もあれば、ホールスタッフとして接客業中心のパートをこなすこともあった。
どちらかというとホールスタッフの比率が高かった私は、お客さんからも顔を覚えてもらい、時折大学の友人も来店し、楽しみながら働いていた。
居心地の良い職場と思っていたが、しかしそれは学生だったからだという事に気付くのに、そう時間はかからなかった。
同じぐらいの世代のスタッフたちと和気あいあいと働き、まだ二十歳そこそこぐらいの若さを誇っていたからこそ中年層のお客様たちに可愛がってもらえ、翌日の授業に1限目を入れなければ深夜まで働いてもゆっくり眠っていられた。
同世代だったスタッフたちは、大学卒業とともに就職のためアルバイトを辞め、新しく現役大学生の子たちがアルバイトスタッフとして入店してきた。
そうなると話が合わず、また微妙な年齢差もあり、ギクシャクしてしまった。
中年層のお客様も、中途半端な古顔よりも、若くてフレッシュな新人の方を可愛がり、私はなんともいえない居心地の悪さを感じた。
そして深夜まで働くのもしんどくなってきた。
翌朝早いわけでもないのに、日付を超える頃になると身体が重くなってくる。
ああ、このバイトは学生のためのバイトなんだな、とそう思うようになり、私は仕事を変える事にした。
これが、私のフリーター人生の幕開けだった。
アルバイトで求人が出ている主たる職業は、ほとんどが接客業だ。
居酒屋スタッフもあれば、ファミリーレストランやカフェなどの店員もあり、ファストフード店のスタッフもあり、また販売業としての接客業も沢山の求人が出ていた。
基本的には、不特定多数の客と関わる仕事だ。
私は、居酒屋でのアルバイト経験を活かし、接客業の募集に応募した。
最初はファミリーレストランだった。
勝手は居酒屋と同じだろうと高をくくっていたのだが、これが大間違いだった。
居酒屋と違い、ファミリーレストランには、様々な年齢層の客が、老若男女問わず来店する。
居酒屋で相手をしてきた人々とは、また異なる人々を相手に接客するのはなかなか大変だった。特にちょっとしたミスをした時に鬼の形相でクレームを入れてくる年配の女性客には参った。もちろん常識ある上品なマダムたちも沢山来店していたが、ごくごく一部、強烈な「おばちゃん」に苦しめられた。
非常識なママたちも来店するし、いつまでも席を立たない勉強熱心な高校生たちにも困らされたし、全て小銭で支払うべくいつまでもレジ前から動かない男性客にもあきれ返った。
なんと言うか、我々店員がお客様に注意をしなければならない場面がとても多かったのだ。「他のお客様のご迷惑になりますので…」と何度言った事だろう。
それで気付いて「すみません」とおとなしくなってくれれば良いのだが、そうは問屋がおろさないケースの方が圧倒的に多かった。
言われなき反撃を受けて、私はほとほとこの仕事が嫌になった。
ファミリーレストランを辞め、次に見つけた仕事は、催事場などでイベントを開催する際の販売スタッフだった。
この仕事は、1日7時間半程度の勤務で日給が1万円近く出るなど、比較的好待遇だったが、1日中立ちっぱなしでニコニコしていなければならないため、とんでもなく疲れた。
まだ動き回っていた方が良い。じっと立ちっぱなしで「いらっしゃいませー」とか「どうぞ、よろしければご試食いかがですかー」とニコニコしながらペコリペコリとおじぎをするのは耐えがたい苦痛だった。
そして、ここでも私は接客のストレスを感じる事となる。
試食があるような物品を販売する場合、試食を差し出すわけだが、これに対する客たちの反応が思いの外精神的にダメージを与えた。
「あら、ありがとう」と言って試食に手を伸ばし「おいしいわ」と言ってニッコリ笑ってくださるお客様は神様のようで、ほとんどの人は無言で試食して、無言で楊枝を捨てて無言で去っていく。
試食してもらったからにはこちらとしても営業トークのひとつも挟まなければならないが、その隙を与えない。
更に、私が思っているよりもずっと、そもそも試食してくれない人が多かった。
ことごとく、無視、である。
冷たくあしらわれると、心が折れる。
また、どうにか買っていただく事になった時にも、会計時に「何か一言言わないと気が済まない病」を発症する人もいて、ぐずぐずしているだの、釣銭が細かすぎるだの、小言を言われる事もしばしばだった。
この販売員の仕事も、なんというか、ちっとも楽しくないし、私には向いていないと思うようになった。心身ともに大層疲れる。
日給は良いかもしれないが、こんなに自分自身を擦り減らしてまで続けたい仕事なのかな、と思うようになった。
いずれにせよ、接客というものはかなりのストレスを伴うという事が分かってきた。
共に働く仲間も、やってくるお客様も、皆とっても良い人たち、と言い切れる職場ならば良いが、そんなところはどこを探したって見つかりはしないだろう。
私は、何かとストレスを感じる事が多い接客業に嫌気がさしてきて「人とあまり関わらない仕事はないかな」と思うようになっていた。
今が転職時なのかもしれない、とも思った。
フリーターという宙ぶらりんな立場からもそろそろ卒業したい。
ちゃんと「私の仕事は〇〇です」と胸を張って言えるようになりたい。
そう思った。
私は夜な夜なインターネットで求人情報をあさるようになった。
ただ、探せど探せど、出てくる求人は接客業ばかりだった。
これではらちがあかない、と「人と関わらない仕事」などのキーワードで検索をかけてみた。
すると、いくつかの職業が浮かび上がってきた。
中には「伝統工芸などの職人に弟子入りする」など、なかなかの覚悟がないとチャレンジできないようなものもあったが、在宅の仕事などが主たるものだった。
ただ、私が在宅でできる事といえば、データの打ち込みや、いわゆる「内職」と呼ばれる軽作業で、そういったものは時給がとても安く、また、自主自立の精神で日常生活をコントロールしないと気づけばさぼってしまいそうで、最初から向かないだろうな、と思った。
そんな中で「これなら良いんじゃない?」と思ったものが、工場勤務の仕事だった。
工場での様々な作業をおこなうというもので、不特定多数の客と関わる事はまず無い。また、身なりに過度に気をつかう必要が無いところも魅力的だった。
服装や髪型が自由と謳っている求人もあったし、制服貸与で、毎日の服装を考える必要もないというメリットのある工場もあった。客に見られるわけではないから、化粧も不要だろう。
女性歓迎、と謳っている求人情報も多く、あまり工場で働く女性のイメージができなかった私だったが、実際の作業内容を見ると、梱包や仕分けなどの単純作業だったり、食品工場で菓子パンを作る作業工程に係る簡単な仕事だったり、確かに女性でも無理なくできそうな仕事が多かった。
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もっと、重機のようなものを扱って汗水垂らして働くようなイメージが強かった私にとっては以外だった。
中には「座って作業ができます!」とか「冷暖房完備!」とアピールしているところもあり、1日中立ちっぱなしの経験者にとってはありがたい限りだった。
私にとって嬉しい特徴が盛沢山の工場勤務の仕事だったが、中でも初心者歓迎や、未経験OKという求人がほとんどだった事も大変助かった。
正社員登用制度を実施しているところもあれば、最初から主婦をターゲットにしたパートの募集もあり、正直どれに応募しようか迷ったが、まずは興味が持てそうなもので、時給が少なくとも1,000円は超えているものに応募してみようと思って探した。
将来の事も一応考えて、正社員登用ありというもので、ひとまずアルバイト募集に申し込む事にした。時給は1,100円で土日も勤務すると1,300円に上がる。
仕事内容は食品加工工場での単純作業だそうだ。
場所も、自宅から1時間かからずに通える場所で、交通費も支給されるため、願ったり叶ったりだった。
アルバイトで応募した場合、よほどの事がない限りは受かるだろうと思い、気楽な気持ちで面接に臨んだが、私の予想は見事的中し、面接の最中から「いつから来れますか」と聞かれた。
その日のうちに採用の通知が届き、早速翌週から働く事となった。
緊張の初出勤だったが、職場には、現場責任者の社員の男性と、パートやアルバイトの女性たちが数人いるだけで、しかも皆とても優しそうだった。
女性たちの年齢層は、まだ20代ぐらいにしか見えない若い人から、40代後半ぐらいの中年の方まで、様々だった。
私の指導担当になった方は、私と同じくらいの歳だったが、自分は主婦で幼稚園に通う子どもがいる、という事を明かしてくれた。
「だから幼稚園が終わる14時には間に合うように帰ってしまうので、それ以降は他の方になんでも聞いてくださいね」と言われ、それぞれが希望の時間で働いているのか、というのが分かった。
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作業内容は、ベルトコンベアーで流れてくる食品を目視でチェックして、問題ないものと不良品を分けてから、問題ないものをパッケージに詰めるというものだった。
作業自体は確かに単純で簡単なものだったが、ベルトコンベアーは私がもたもたしていても待ってはくれないので、慣れるまではてんやわんやだった。
それでも、1日も経つと大体勝手が分かり、それなりのスピードで作業ができるようになった。
1週間働いて分かったことは、今までの仕事からは想像もつかないぐらい、対人ストレスや接客ストレスを感じないという事だった。
そもそも接客はしないため、接客ストレスは皆無だったし、対人ストレスも、ギスギスした雰囲気が全くない職場だったため、まったく感じなかった。
それから、服装だが、食品を扱う工場だったため、出勤するとロッカーで着替えて貸与された制服を着る。そしてその制服は1日の仕事が終わると洗濯に出す。
だから、服を選ぶにも気を遣わなくて良いし、専用のキャップをかぶってしまうので髪型も気にしなくて良く、とても楽だった。
化粧に関しては、社会人として最低限の化粧はしていったが、華美なものにする必要は全くなく、出勤前に2、3分だけちょちょっと顔を整えれば済んでしまった。
これだけストレスフリーな職場があったとは、と驚いたし、時給も決して低くなかったので、今まで自分が大きなストレスの対価として稼いでいた給料はなんだったんだろうと思うと虚しくさえなったが、それでもこうやって心穏やかに働ける職場に出会えた事に感謝しようと思った。
先日、中学生のお子さんを持つお母さんが、お子さんの高校入学が決まり、子どもが高校生になったら正社員登用試験を受けようかと思っていると話しているのを耳にして、正社員登用の仕組みや、どうやったら正社員になれるかという話を聞いた。
私にも可能性があるという事が分かったので、これを機にひとつ頑張って正社員として工場で働くという夢を持つのも良いかもしれないと思うようになった。
就活サバイバルで敗れた私にも、まだチャンスがあると思わせてくれた今の職場にとって少しでも役に立つ存在でいたいと、前向きな気持ちで、今は毎日働いている。
いつか恩返し出来たら良いと思う。
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